2012年1月24日火曜日

駐輪スタンド


 ここから7800m離れたFreiligrathplatz(フライリグラートプラッツ)というのが最寄りの駅だが、中央駅からU78(見本市行き)とU79(隣町デュイスブルグ行き)の2線が通っている。

 昨年末U78の駅の方に自転車置き場が出来て便利になった。これまでこの駅には駐輪場がなく、私も含め誰もが線路脇の安全柵や電柱に自転車をチェーンでくくりつけていた。ひどいのはプラットフォーム上の柱にまでつける悪いマナーの者も現れた。

 それを見かねたのか、ご覧のようなスタンドが最近出来上がったのだ。しかしその数はわずか10台分で絶対数には足りない。あぶれた人は以前通り他の所に駐輪している。我が家からは歩いても大した距離ではないのだが、町で沢山買い物をして荷物が多くなりそうなときは私も自転車を使い駐輪している。でも午前中はここの10台分は全部占領されているので、なるべく午後生徒が帰宅した後の時間を狙う。学校が休みの間はほとんど全部空いている。

 一方U79の方は先年、車椅子、乳母車、身障者の便宜を図って駅のプラットフォームを高くするため大改造が行われた際、同時に作られた駐輪場だ。こっちは生徒数がずっと多く早朝スタンドはすぐに一杯になり、近くの橋桁に沢山の自転車がくくりつけられことになる。

 2つの駅の駐輪場を比べてみたら面白いことに気づいた。U79は大掛かりな工事に便乗して造ったためか、予算も十分に取れたのだろう。パイプの材料もピカピカの良い質のものだし高さも80センチある。お陰で屈まなくても盗難よけチェーンが掛けられる。それに比べU78の方は材質がぐっと落ちるし、高さも半分ほどなのでチェーン掛けが難しい。

 大阪の知人のブログを読むと、日本の駐輪場の問題(特に違反駐輪と古い自転車の放置の)がひどいらしい。彼は自転車乗りの人々のエチケットの悪さをいつも嘆いている。さてこの近辺でも自転車利用者の数は増える一方だし、駐輪場(スタンド)の新設は場所の関係からあまり望めそうもない。駐輪者のマナーがさらに悪くなった時どんな状態になるのか、今からちょっと心配している。

2012年1月17日火曜日

寒中の開花


 明るい太陽が輝く日が続いているが、今度は気温がぐっと下がって来た。道行く人々も「急に寒くなりましたね」という挨拶を交わしている。

 しかし新年が始まってから2週間というもの、暖かい気候が続き湿り気も十分あったため、公園の植物・花たちは春の到来か、と早合点したようだ。日曜日の午後カメラをさげてNordparkへ行ってみたら、春先でなければ咲かない花がいくつか咲き始めていて驚いた。

 先ず公園の入り口に咲く黄色い花はオウバイ(黄梅)。これはドイツ語で「冬のジャスミン」(Winterjasmin)というのだから、今の季節に咲くのはよしとしようか?

 次はキンポウゲ科の紫色の花「クリストローゼ」(Christrose)。これも一応寒い季節の花だが、「こんなに開花するのは早すぎる」と植物に詳しい我が妻が言う。

 この可愛い花はヒナギク(デイジー)。確か開花期は春のはずだが、こんなに咲いているとは!
 
 そしてスイセン。イースターのシンボルであるためドイツ語では「イースターの鐘」(Osterglocken)と呼ばれる春の花が、ご覧のようにもう咲いていたのだ!これはもう狂い咲きというほかない。

 さて、人間様の方は明るい太陽のもと、何チームも公園のあちこちで、こんな球技に熱中していた。ルールはよく知らないが、たしかフランス語でペタンクというゲームだ。重そうな鉄のボール数個を、手の甲を上にして空中に放り投げてカチンカチンと当てて遊んでいるが、 日本ならさしずめゲートボールほどの、大して運動にもならない、体力は使わない中高年の男女のスポーツらしい。だから若い人は全然やっていない。しばらく観察したが、自分でやってみたいとは思わなかった。

2012年1月14日土曜日

ライン河の増水


 今年になって新しい日記の天気欄には連日、「雨」か「曇り」ばかりが続いていた。それが2週間になろうとする今日、うれしや初めて「晴れ」と書くことができた。

 降り続く雨のため増水していると耳にしたライン河まで自転車で出かけたのだが…。向かい風が強くてペダルを踏む脚はしんどいし、顔に当たる空気は痛いほど冷たいし、手袋なしの手はかじかむし、で大いに苦労した。

 数日前に写真で見た時には、ライン河畔の草原と木々の幹はまったく水に覆われていた。今日行って見ると、水はかなり減っていたものの河の水量はまだまだ普段より多く流れも速い。オランダから出発してスイスに向かう油送船もあえぎながら航行している様子だった。

 久しぶりの太陽に、運動不足だった犬を連れて散歩に出て来た人々…!大きいのから小さいのまで、もう至る所犬ばかりだ。久しぶりの日の光に、犬も人も大はしゃぎ。


 今回はこれくらいの増水で助かった。雪解け水がドッと押し寄せる春先等、この堤防を水が超えて、家庭菜園に流れ込むと小屋がプカプカ浮いて流され大変だ。上流のスイス、オーストリアでは大変な雪で今年の積雪量も多いと聞く。雪解けの春には大洪水となることがないように祈っている。

2012年1月7日土曜日

Dreikönige (主の顕現の祝日)


 「イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った…『わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました』」。このように、聖書の「マタイによる福音書」2章に記されています。この東から来た博士とはいったい誰なのでしょう?
 
 日本の聖書では「博士」となっていますが、そのほかにも「王」(Könige)とか「賢者」(Weisen)とか、「魔術師、神業師」(Magier)いう訳もみられます。これにはいろいろな説がありますが、彼らは現在のペルシャあたりにいた星占いの専門家であった、というのが定説のようです。とにかく、夜空に異様に輝く星を見て、これはなにか特別な人が生まれたという徴にちがいない、とはるばる旅をして訪ねて来たのです。明るい星の出現と偉人、英雄の誕生を結びつけることは、洋の東西を問わず行われて来たようです。

 教会の聖誕劇では、イエス誕生の場である馬小屋に天使や羊飼いたちと共に、この3人の博士も登場しますが、本当は遠い東の国から着た彼らが到着したのはもう少し後のことだったかも知れません。聖書の博士の記事はすでに3世紀には伝説化されており、人数が3人とされたのもこの頃かもしれません。6世紀に入ると彼ら3人それぞれにカスパー、メルキオール、バルタザールという名前も与えられます。その上、博士は実は4人だったのだが、一人は遅れて来てイエスに会えなかったのだ、という物語(「遅れて来た博士」)も付け加えられました。

 教会のカレンダーでは今日16日をその記念日としており、ドイツ語ではDreikönigeと呼びますが、ギリシャ語の元の語Epiphanie(顕現)から“Erscheinung des Herren“(主の現れの日)も使われ、日本語では「主の顕現の日」となっています。この日ドイツでは「星の歌手」(Sternsinger)と呼ばれる、博士の衣装をつけた子供たちが町に繰り出し、各家を訪ねて歌を歌いなにがしかの寄付を受けます。この習慣は16世紀に遡りますが、今日ではそのお金は教会を通して、宣教・伝道活動や貧民救済の資金とされます。

 今日の夕方、このアパートにも「星の歌手」がやってきました。寄付を受けた後、子供たちはチョークで家のドアや梁に祝福の言葉を書いてくれます。ドイツにお住まいの方なら、きっとどこかで一度はご覧になったことでしょう。今年のは 20 C+M+B 12 となりますが、一々手で書くのは面倒なのか、今日このアパートに来た子供たちは、接着テープに予め白い文字を書いたものを貼付けて行きました。私は、この書き物の意味は、3人の博士の名前で「カスパーC、メルキオールM、バルタザールBがこの家を訪ねた」というのだろうと思っていましたが、これは大変な間違いでした!本当の意味はChristus Mansionem Benedicat“というラテン語で「キリストがこの家を祝福されますように」という祈りの言葉だ、ということを最近学びました。

2012年1月2日月曜日

大晦日(Silvester)



 晦日(みそか)は月の30番目の日、それが年の最後の日には晦日となります。ドイツ語ではSilvester(ジルヴェスター)の日といわれます。ジルヴェスターは4世紀の法王様で死去したのが3351231日。その日を記念するため、年の最後の日が彼の名前をもって呼ばれるようになったのです。


 この日にドイツの家庭ではシャンペンやワインを飲みいろいろなご馳走を食べて、過ぎ去った1年のお祝いをします。その後家庭でよく行われる習慣であるBleigiessen(「鉛を溶かして行う占い」のこと)をするため、そのセットを町で買って来ました。ご覧の通り、大きめの匙(スプーン)に鉛を入れ、それを火の上で溶かし、十分溶けたところで水の中に放り込むと色々な形が現れます。その形によって、ハート型なら「素晴らしい恋の成就」とか、蛇の形なら「良からぬことの前兆だから注意」とか、来る年の運勢を占うのです。セットの裏にはA-Zまで、いろいろな形の解説が書いてあります。さて我々のBleigiessenの結果はどうなったでしょう?凶と出るか吉と出るか、果たして大きな幸運の訪れる2012年となるでしょうか?それとも要注意の年か?

 真夜中の0時が近づくにつれ戸外が騒がしくなります。国によっては、日本の夏の花火大会のような、大きな花火大会が開かれるようですが、ドイツでは一般の人がデパートで買って来る花火を、道路や原っぱで上げてお祝いするのが習いです。規模は小さいけど、昨今では驚くほどハイテクな花火もあり、それが何千何万と、半時間にわたり一気に夜空に上げられるのは見事です。毎年これに費やされる費用は何百万ユーロになるのやら?我々は一本も買わず、他の人が上げてくれる花火を7階のアパートのベランダから十分に楽しませてもらいました。

 花火や爆竹は大きな音であるほど良いようです。その目的は、その大音響で悪霊を追い出すという目的があるからです。人間の108の煩悩を考えつつ、静かに鐘をつく日本の仏教の習わしとはまったく違った雰囲気ですね。

 悪い霊をすべて追い払った後は新年が明けました。みなさんにとって2012年が良い年でありますように、心よりお祈りいたします。